ソラナミダ

渋々と、振り返る。


…と、サングラスを掛けた男の人の顔が、目の前にあった。


「…ごめん、ハルミだけど…」


サングラスを外して、ハルミさんは小さな声で話し始めた。


「…誰かと思った。」


ふうっと諦めの息をつく。


「昨日、何か怒らせたみたいだったから気になって。」


「…え?」


「俺『かわいい』って言ったけど、ただ素直にそう思ったから言っただけだから。別に社交辞令とか良く思われたいとかそんなんじゃない。もしそのことで嫌な思いさせたんだったら…、ごめん。」


「…。そんなこと、気にしてくれたんだ。ごめんなさい。色々あって、ハルミさんに八つ当たりしたんだと思う。」


「…そっか。俺、考えなしに思ったこと言っちゃうから…。」


「ああ。そんな感じ。」


「…ひでっ。」


苦笑いする彼に、


「違うよ、いい意味でね。」


私はニカッと笑って見せた。


「じゃあ、私仕事なので…。」


「ああ、俺も。」


「…そうなんですか。…じゃ…。」




ところが何故か…、
私達は、肩を並べて歩く。


「平瀬さんて…OLさん?」


「ん~、まあね。」


「昨日と全然雰囲気違う。」


定番になっている『ジャケットにパンツ姿』…。

見えっ張りだから、外では良く見えるようにしてしまう。




「ハルミさんは?なんていうか、かなりオシャレだし…、美容師さんとか?」


「……。ちょっと待って。『さん』付けはやめよーよ。」


「…そっか。じゃあ…『ハルミくん』。」


「はい。」


にっこりと微笑んだ。


「朝からサングラスって…不審者かと思われるよ。」


「そう?でもまあ…コレは体の一部。」


「…?太陽の光に弱いとか?」


「……。ホント面白いよね、平瀬さんて。」


「…あ。自分だって『さん』付けじゃん。」


「だってちゃん付けしてもおかしくない?」