ソラナミダ


嘘でも、お世辞でも、ただ言ってくれただけなのに…。


なんて、私は子供なんだろう。


大きな自己嫌悪に陥ってしまう。




ガラガラ……



不意に、窓の開く音。



「…もしもし、………うん。…え?ああ、行ってきたよ。」



男の人の声が聞こえてくる。


こっちの側の部屋って……



ハルミさんじゃん!



私は存在にきづかれないように、そっと息を潜ませた。




「ははっ…鷲尾さんの言う通りだった。優しそうで…いい人だった。」



電話の相手…、

鷲尾さん?


「…うん。言われてみると、そんな気もする。」


…何の話だろう。

仕事…かな?



「そう、同い年だった!」


…ん?


「……平瀬さん?…うん、鷲尾さんがそー言う訳も分かる気がする。」


…私の話!?


「…うん。かわいい。」


………。


「…うん。でもやめたほうがいいんじゃない?」


……?


「忙しいんだよ、きっと。あんまテレビ見ないんだって。………うん。じゃあ、8時くらいに。……おやすみ。」




…電話…切ったのかな。



盗み聞きなんて、するつもりなかったけど……。


こうして、ハルミさんがマンションの部屋にいること自体が珍しい。


夜でも電気は消えていて、物音一つ聞こえてこない。


だから…


こんな日も、あるんだ…。


同じ星空を、同じ時間に見上げる時が…。


暗闇に、一筋、タバコの煙が立ち上る。



私…
今日は、ひとりじゃないんだ…。




不思議な、安心感。



隣りのハルミさんは、どんな顔でこの空を見上げているのだろう…。