ずっと、足の動きを止めずに歩き続け、やっと学校で練習する野球部の声が聞こえてきた。 もうすぐ。 もうすぐだ。 あと少しで、私と伊月の特別な時間がやってくる――。 足が少しだけ重くなった。 まだ、私はトランペットを吹いていない。 どうしても、ひとりでは吹けない。 あのブランクは、まだ埋まっていなかった。