「悠希、ずるいよ‥」 「知ってる。」 そう言って悠希はやっと私を抱き締める手をほどいた。 「ごめん。でも我慢できなくて。」 少しだけもとの悠希に戻って、安心する。 「‥ん、帰ろ?」 私がそう言うと、悠希はいつもの笑顔に戻る。 「あぁ。」 それから、私たちはいつも通り、たわいもない話をしながら、歩いた。 そして、私のマンションの下のつく。 「じゃあね」 そう言って行こうとする私の腕を、悠希がつかむ。