自販機で缶コーヒーを出そうとしたらまた声が掛かった


「結局、お前もかつてのオレと同族だったとはねぇ」


「一緒にしないでもらえますか」


自販機に入れようとしていたコインを握る手に力が入るものの、かろうじて敬語で返す


そう、この柊翔真という男


かつてこの男は女を日替わりで抱いていた


そんな男も桜川と出会ってからは随分と変わり……


にしても、そんなひどい奴に桜川を持っていかれたんだと思ったら


何か久しぶりに腹立ってきた


コーヒー止めた


もうデスクに帰ろ


オレが休憩室から出ていこうとしたら






「まっ、オレもお陰様で今じゃこうして幸せ掴んでるしお前も精々、頑張れよ。ただ、これだけは言ってやる。前みたいにまた待ってるだけだといつまでも幸せになれないぞ。兎に角、遠回りしてねぇで突き進めよ。周りには勝手に言わせとけ。堂々としてりゃ良いんだよ。気にしねぇでさ」






くっそぉ……


何だよカッコいいこと言いやがって


解ってるよ


言われなくても、それくらい


背を向けたまま頭を下げるとオレは何も言わずそのままデスクに戻った