「記憶にはないけど、そんな気がする」
「俺もそうなんだ。何かを忘れてる気がして、ここに来れば思い出せるって思ったんだ」
私は、笑顔を浮かべた。
「…全く同じだ」
男も笑顔になる。
「きっと、この手紙が、また俺らを会わせてくれたんだ」
「そうだな」
男は、ふと私を見て、口を開く。
「お前、名はなんて言う?」
「…松林千春。あんたは?」
「俺は、土方歳三。…よろしくな、千春」
「よろしく、土方」
土方が、私の手を握ってきた。
その大きな手を握り返し、私も微笑む。
そして、明るい未来を信じ…。
私達は、歩き出した。