「髪にささねえのか?」 男が聞いてきた。 「……」 「…貸してみろ」 男が手際よく、私の髪をまとめ上げる。 「似合うな」 「ありがとう」 微笑んで、髪に手を当ててみた。 宝物のように感じた。 「…なぁ」 ふいに、男が話し掛けてくる。 「何だ」 「俺ら、どこかで会った事ねえか?」