夢花火





あの場所に、忘れ物をした気がするから。

私はそこに向かって、歩き出した。

ここを曲がって…。
少しずつ、そこに近付いて行く。

「ここだ…」

古い神社。
その横にある、桜の木。

ここで、あの人と何かを約束した。

夢の中で、あの人が言っていた。


『あの桜の木の下で、待ってる』


桜の木を見上げた。

少しだけ散っていたけど、この木は、いつか見た時と変わらず、綺麗だった。