── ──── 「……」 また、ゆっくりと目を開ける。 たくさんの涙が、私の頬をつたっていた。 何でかは分からない。 その涙の理由を、私は知らない。 心の中に、一つだけぽっかりと穴があいた感じだ。 時間は、もう六時半。 妙な気分のまま、学校に行く準備を始めた。 ご飯を食べて、制服に着替えて、髪を結って。 「…行ってきます」 「あ、千春待って!お弁当!」 お母さんが弁当を持って、こっちに駆け寄る。