夢花火





そして土方は、私をさらに抱きしめ、背を向けて…。
隊員を率いて歩いていく。

ぎゅっと、土方がくれた簪を握り締める。

そして、その場に座り込む。

大丈夫…。

きっと、大丈夫…。

おまじないのように、心の中で繰り返した。


「千春さん!怪我人の手当をお願いします!」


隊士の声に、はっとする。


「あ、あぁ…」



たくさんの怪我人。
たくさんの戦死者。


頭の中は、土方の事でいっぱいだった。