そして、とうとう──。
明治二年、五月十一日がやって来た。
…そう、その日。
箱館戦争…
つまり、戊辰戦争最後の戦いの日。
この日から数日後、新選組や旧幕府軍は、新政府軍に降伏する事になる。
そして何より…。
土方の、運命の日だ。
…よくない情報ばかりが、耳に入ってくる。
たくさんの怪我人、戦死者…。
そんな中、ついに土方は立ち上がった。
「一本木関門に向かうぞ!!!!」
その大声で、他の隊士も立ち上がる。
そして土方は、私の方を見る。
「…行ってくる」
不安で涙が出そうだったけど、私は頷いて、土方を抱きしめる。
「気を付けて」
「…あぁ」
大丈夫…。
土方を、信じよう…。

