荷物をまとめ、道場を出た。
高校二年生になり、二週間くらいたつ。
「桜…だいぶ散ったな…」
満開だった桜。
それがどんどん散っていくのを見て、少し寂しくなる。
桜の下を歩き、家についた。
「…ただいま」
小さく声をかけ、家の中を歩いていく。
着替えをして、家族でご飯を食べて、家の道場で稽古をして、風呂に入って寝る…。
これが、いつもの毎日。
決して変わることはないと思っていた。
一人でいた方が楽だ。
だから、一人で攻めに行く剣道には心惹かれる物がある。
誰かと一致団結なんて、ちょっと面倒。
誰かの言葉に、助けられるときがくるなんて。
いつも頼っているのは自分自身だから。
人の暖かさを知らなかった。
あなたたちに会うまではーー。