夢花火






土方が、驚いた表情のまま私を見た。



「…お前、女だったのか?」


「一応女ですけど」



失礼すぎないか?


土方は、はぁーっと長い溜息をついた。


三人に向かって、私は言った。


「女が、隊士になんてなれるわけがない。だから…」


「いや、その心配はない」


土方がそう言った。


「お前みたいに強い奴が、今の壬生浪士組には必要なんだ。そうだろ?近藤さん」


「まあ、そうだが…」



そこで、近藤は黙り込む。



「君、すまないが一晩考えてくれないか?」


「私は嫌ですよ」


「頼む。私達も君も、一石二鳥ってやつだ」


…確かに、私には行く宛がない。



「じゃあ…分かりました」



もう、仮説は現実だと、分かっていた。


ここを出たとしても、何が起こるか分からない。


私はある意味、運が良かったのかもしれない。


とりあえずの居場所としてなら...。


私は、一晩ゆっくり考えることにした。