夢花火





目の前に、立派な門。


門の横には、"壬生浪士組屯所"と、堂々と書かれた表札があった。



いつの時代の表札だよ...達筆すぎるし。



......いつの時代?いや、まさか。



その門をくぐって、中に入っていった。




「あの…」


「何ですか?」


「本当は、こんなこと聞きたくないんですけど…。今、何年ですか?」



まさかな、と思いながらそう尋ねた。


案の定、相手は不思議そうな顔をする。



「…文久三年ですよね。あれ、私間違ってます?」


文久三年…。


西暦で言うと、1860年くらいだ。



「タイムスリップ...?いやまさか」



思わず出た言葉に、彼はキョトンとしている。



「何か言いました?」


「あ、いえ。何でもないです。でも私、ドッキリとか苦手なので、そういうのだったら今すぐやめてもらえます?」


「...はあ。えっと、どっきり、とは?」



相変わらずのキョトン顔で、全く話が通じない。



「もういいです」



私は早く、帰りたいだけなのですが。