夢花火






「…すまない、明里。もう時間だ」



「嫌…嫌や!山南はん…!」




涙を流しながら訴える明里さんの髪をなで…。



山南は、スッと扉を閉めた。



力なく、明里さんは膝をつく。




「…っ……うわあぁっ…」




私は、それを見守る事しか出来なかった。



大切な人を失うって、どれだけ辛い事なのだろう。



きっと、自分が想像しているよりも、辛いだろう。





出会いがあれば、いつか必ず別れが来る。



それは、分かっていた。



でも…。



本当に私には、何も出来なかったのだろうか。