「山南はん‼」
すぐに格子戸の扉が開き、山南が顔を出した。
その瞬間、明里さんは泣き崩れる。
「明里、どうしてここに…」
山南は、明里さんを寂しげな目で見つめた。
「どうして…こないな事に、
なってしもうたん…?」
泣きながら、明里さんは続ける。
「もっかい逃げて…。うちも一緒に逃げるから…」
山南の手が、格子戸ごしに、明里さんの顔に触れた。
「…すまない。明里」
「嫌や…。何で、山南はんが死ななきゃあらへんの?うちはこれからもずっと、あんさんの側にいたいのに…!」
明里さんの着物が、涙で濡れていた。
「うちは、ずっと山南はんの側におると決めたんや…‼」

