──夕方。



山南は、切腹をする出窓のある部屋へと移動した。



私は屯所の門の前に立ち、外の空気を吸っていた。




その時…。


バタバタと、誰か人が走ってきた。




息を切らした日和と明里さんが、
私の前に立つ。




「千春、山南さんは?」



「どうか、お願いします‼山南はんを、許してやって下さい‼」




二人に同時に言われ、私は口を開く。



「…こっちだ」




二人を、出窓がある場所まで連れていく。




バンバン‼‼


辺りがだんだん暗くなってきた中、明里さんはしきりに出窓を叩いた。