山南が話すより前に、女の人が口を開く。 「うちは、明里(あけさと)といいます。山南はんの愛人や」 明里さんが明るい笑顔でそう言うと、山南は少し照れたように笑った。 「…松林千春です」 「あんさんが千春はんか~。新撰組唯一の女隊士やって、京では評判や」 「そうなんですか」 「あんさんに一度、会うてみたかったんよ。よろしゅうお願い致します、千春はん」 明里さんは、にっこりと微笑んだ。