夢花火





「…どうしたんだよ。行かないのか?」



土方はまじまじと私を見てくる。


こんなに見られると、私だって恥ずかしい…。


少しずつ、顔が熱くなっていくのが分かる。




「ほ、ほら!行くぞ!」



私は土方の腕をがしっと掴み、歩き出した。



「おおきに~!」



後ろから、クスクスと笑いながら私達を見送る女の人の声が聞こえた。




「土方?私、道分からないからな。ちゃんと歩いてくれないと困る」



すると、土方はハッとして足を止めた。



「千春、すまない。こっちだ」


「……」



土方がそう言い、私達は逆方向に歩き出した。