【月side】

黒く染まりゆく背中の羽。

闇に紛れる漆黒の翼だけど

光にだってなれるんだ!!


だからあたしの黒い翼は誰にも

負けたりしないよ!!綺麗事なんかよりも

素直な気持ちが聞きたいだけだから。



『誰もが夢の翼を持って生まれてきた。
その瞬間から皆、何かが足りなくて…』


『えっ…ちょっと…結大…。』


あたしは手を伸ばす…。だけど

彼には何一つ届かなくて…。


『でもそれを埋めるためにお前を好きになれるなら俺はもう…何も要らない。』


――――死んだって構わない!――――



結大がそう言った途端、あたしの

目の前が真っ暗になった。


『結大があの子の為に死んで
いく所なんて私は見たくない。』


真っ暗な世界で突然女の子の声が響いた。

あたしは目を凝らして声のした方を見た。


『俺は決めてたんだ。初めて
出会ったあの日、あの時から…。』


突然目の前が真っ白になって目の前に

結大とどこかで見た事がある綺麗な青い

髪でポニーテールの少女。彼女は一体誰?


『今ならまだ間に合う!!私が
あの子の記憶を消してやるっ!!』