嵐の来襲は、二限と三限の間の休み時間。

「おい、菅坂…」

「んあ?」

 隣りにいた五桐の目配せに感謝するヒマもなし。

「コウ!」

 高い声と一緒に、机のうえに華奢な両手がたたきつけられた。

 擬音は『バン!』、じゃなくて、『ダン!』。

 ――反則技の馬力。

「コウ! あんた、変なオンナにつきまとわれてるんだって!?」

 人間凶器はさらさらの髪をかきあげて、綺麗な顔ですごむ。

 大きな猫目が、ちかりとひかった。