狼先輩。


「女の子の集団の波に呑まれちゃって……それで、転んじゃいました」


それにしても、あの集団は何だったんだろ……?


「ふーん…」



王子様は、私の膝に目線を移して、


「まだ、血が出てるね…」

そうポツリと呟くと、



「……ひゃっ!?」



その血をペロリと舐めた。

え、えぇっ!?


い、今、何しました!?



自分の顔が一気に赤くなっていくのが自分でも分かった。



「顔、真っ赤だよ?」



くすっと笑みを零し、王子様は私を見る。


な、に……この人っ!