狼先輩。



「んー、どうしようかな」


なんて言っている先輩の声色は全然焦っているようには思えない。


先輩は、本当に扉が開かないか確認するため、扉の方へと近付いて行こうとした。




……けど、そんな先輩の腕を私は掴んで引き止めた。




「……行かないでください」





先輩は少し間を置くと、とても優しい口調で、


「ことりちゃん、怖い……?」



と私に尋ねる。


きっと私が震えてるのに気付いたんだろう。



コクン、と素直に頷く。


真っ暗で……ほぼ何も見えなくて……怖い。



先輩が近くに……誰かが近くにいてくれるだけでだいぶ安心する。