狼先輩。



涙がおさまった頃。


「大丈夫?」



と、西村くんが私の顔を覗き込んだ。



「うん……ありがとう」


「よかった」



西村くんは、ニコリと私を安心させるように笑う。


「なんだか今日は、西村くんの前で泣いてばかりだね。さっきもそうだったし。ごめんね」



さっき、音楽の授業が始まる前。


ワケもわからず、涙を流す私の傍にいてくれた。


本当に、優しいな……。