狼先輩。


「渡辺さん……」



切なそうな声。


この声は……。




「西、村……くん?」


「……そうだよ」



目の前が急に真っ暗になったのは私の目を手で覆ったせい。



……見たくなかったから、ちょっとよかったかも。


ふぅ、と息を吐くと、


「少し向こうに行こうか」



と言われて、頷いた。