「クスッ、何もしないよ。ちょっと俺も髪を触ってみたかっただけ」

さっき私が触ったから?

「警戒しなくても生徒には手を出さないよ」
またクスッと笑った。
生徒には?
生徒じゃなかったら何をするの?

そう聞きたいけど、危険な質問だと思い、何も聞けなかった。



今日の瀬尾先生はいつもと何か違っていた。

瀬尾先生が帰ってから私は今日の瀬尾先生の行動を思い出していた。


掴まれた手。

握られた手。

触られた髪。

近付く体。

見つめる瞳。

微かな笑顔。


思い出すだけでドキドキする。

やばいかも。

心の中が

頭の中が

瀬尾先生でいっぱいになり始めている。


勉強しよう!
まず復習だ!

頭をブンブン振って、机に向かう。