あなたの”その”足元へ

   *
「ずいぶん、と、ぼろぼろだこと」


枕元に立っていたさやかの言葉に綺樹は口元で笑った。


「まあね」


さやかはすこうし首を傾げた。


「どうしたの?
 そんなに、自分を追い詰めて?」


綺樹は白い病室の天井を見上げた。


「わからない」


短い沈黙があった。


「そう?」


さやかは軽く語尾を上げた。

それにくつくつと笑う。


「ほんと、嫌な上司だなあ」


また、沈黙になった。


「なんだか、怖いのかな」

「怖い?
 あなたから初めて聞いた気がするわね」


綺樹はくつくつと笑った。