その日 一日中、休み時間中は学校中の教室を転々とした。 怜衣に捕まることもなく、放課後を迎えた。 号令が終わるとすぐに教室を出る。 怜衣は、まだ教室に居た。 足の筋が痛くなる程 早く歩き、家を目指す。 この角を曲がれば家が見える。 「…!」 亜季の足は停まった。 いや、停まらざるをえなかった。 何故なら、そこには亜季よりも遅く出た筈の怜衣が居たからだ。 ニッコリと微笑んで、怜衣は言う。 「亜季と話がしたいんだ。」