ザザッ 路地裏を出ると、姫のような顔立ちの、ボーイッシュな女の子が猫と戯れていた。 『少年!俺達、追われてんだ! 女が来たら、あっちに逃げたって言ってくれ!』 少年…? ボーイッシュだけど、どう見ても女の子… 『おう、いいぜ。』 え…? 『サンキュ!じゃあな!』 真輝は再び亜季の手を引き、走り出した。 『泉水!2人は?』 路地裏から出て来た哀歌に、泉水は顔を上げた。 手を止めると、猫が擦り寄ってくる。 手に絡み付く猫を、泉水は再び撫でながら言った。 『あっち。』