「ねぇ‥!」 哀歌の背中に向かって叫ぶ。 彼女は立ち止まり、振り返る。 「貴女に‥ 貴女に会いたくなったらどうすればいいの…?」 意外だ、とでもいうような顔をして、哀歌は答えた。 「私に会いたければ月の下で呼ぶことだ、心の中で。 想いは夜風を伝い、私に降る。」 抽象的なその言葉に、しかし疑念は無かった。 亜季は何も言わずに頷き、しばらく目を閉じていた。 「…私は高い所が嫌いだ。 会う場所は考慮してもらえると助かる。」 そう言い残し、哀歌は去っていった。