『…紅。』 哀歌は窺うようにその名を呼んだ。 窓際に立ち、物思いに耽る紅は、哀歌が次に発する言葉を解っているようだった。 『各地で爆発的に殺人が行われている。』 『…ええ。』 溜め息混じりに紅は頷く。 『迅速に対応せねば、事態は深刻だぞ。 …BANISHを各地に飛ばし、制圧する。』 『いえ。』 哀歌の言葉を遮って制止する。 『…彼らにとって、これは余興でしかありません。 全面戦争という、大きなお祭りの、ね…。』