『泉水!』
鋭い声に、一瞬で引き戻された。
『…大丈夫か?すごい汗だ。』
心配そうに哀歌が距離を保って訊く。
さりげない気遣いが心地良い。
『…泉水?どうしました?』
振り返ると、紅が優雅に立っていた。
『顔色が悪いですよ。…まぁ、ひどい汗。早く着替えないと…』
そう言って、紅が泉水に触れようとした瞬間。
空気が変わった。
凄まじい殺気、泉水の瞳は金色に、猫っ毛は逆立っている。
『俺に触るな…』
聞いたこともないようなドスの効いた声で、泉水は吐いた。
そんな泉水に、紅は少しの沈黙の後、フッと笑って、『後は頼みましたよ。』と、泉水を哀歌に託した。


