この家は狂ってる。 俺を娘だと疑わない、過剰な愛をぶつけてくる母親。 息子である俺を性的な意味で求めてくる父親。 両方の異常者に育てられた俺もまた、異常者の血を引き継いでいたのだろうか。 それとも、正常者故の、正常な反応だったのだろうか…。 無惨な光景だった。 誰もが目を覆いたくなる光景を、俺は目をかっ開いて見ていた。 床には、俺の右手から転げ落ちた、真っ赤な血のついたアイスピック。 『俺は男だ‥』 ぽつり、言葉を吐く。 『俺は…!男だっ!!』