『じゃあな、私はまだ残る。』 父親はそう言って、華やかな大広間へと戻っていった。 そのきらびやかな中に父親が入っていく姿はまるで夢心地。 ゆらりゆらりと地面が動く。 震える右手には高級感溢れるルームキー。 ポタリ、落ちた涙が、深紅の絨毯に吸い込まれた。