『Shun…ここにいらっしゃったのですか。』
黒いスーツに身を包んだSPのような集団が、サングラスを外して僕の前にひざまづいた。
僕は氷のように冷たい瞳をして、彼らに言葉を落とした。
『僕を神の命にしたいなら、この子も連れて行くよ。』
グルルルルル…唸るジョアンを僕は撫でた。
『何!?こんな汚い犬など連れて行けるか!!』
『神の命になるお方だぞ!言葉を慎め!!』
この男がリーダー格なのだろう、話の通じそうな奴だ。
『彼は神の遣いだ。いいね?』
『ええ、もちろんですとも。
さぁ行きましょう。皆のものがお待ちかねですよ。』
僕は分かっていた。
神の命は誰よりも尊く、何人(ナンビト)も侵すことの出来ない存在であることを。
15に、なるまでは。
僕には、神の命として生きるしか道は無い。
そう決意してこの家を出て行くとき、SP集団で母の姿は足しか見えなかった。
『ジョアン、おいで。』
『クゥン‥』
満月に晒された古びた家が、もう二度と帰らぬ場所になることを、君も解っていたのだろうか。
その瞳に焼き付けて、君は泣いていたよね。


