「雨希ちゃん…。」 ヒュォオオオ…、トランプが音を立てて向かってくる。 あまりの迫力に、亜季は携帯の画面越しに目を瞑ってしまった。 数秒後、恐る恐る目を開ける。 『二度とその声で私の名前を呼ばないで!』 ギッ、ガラス玉のような瞳が亜季を睨む。 「あ…」 呼びとめる間もなく、雨希は去っていってしまった。 『…気にする必要はありません。雨希の母親の声に…貴女の声が似ているだけです。』 振り返ると、そこには白衣に身を包んだ瑛貴が居た。 「お母さんの声に…?」 『…ええ。』