『珍しいな、お前がやられるなんて。』
紅の前に、ひょっこり現れたのは晴樹だった。
『…やられたのではありません。』
スッ、純白のハンカチを取り出し、頬に当てた。
『どうして避けなかった?』
『…自分の血を見ない限り、自分が生きていることを忘れそうで。
…ですが、駄目ですね、彼女では。全く痛みを感じない。』
『メスの切味、ポーカー・ドール、雨希…か。』
クスリ、紅が笑う。
『誰がつけたんですか?そのセンスの無いキャッチフレーズは。』
『俺は上手いと思うけどなぁ…。
ポーカーフェイスと、トランプのポーカーを掛けた、ポーカー・ドール…。』
『ポーカーフェイスというのは、元々、トランプのポーカーから出来た言葉ですよ。』
『へぇ…物知りだな。』
ザッ…振り返る。
『雨希…、相手に痛みを与えないのは、貴女の甘い部分です。
私達に勝ちたいのなら、その甘い考えを捨てることです…。』


