禁断の姉弟愛 ~欺くのはどっち?~

 車は静かに走り出した、と思ったのもつかの間、通りに出た途端にグングンと加速していった。シートに背中が押し付けられるほどに。


 “あまり飛ばさないでよ?”と言おうと思ったけど、和也の横顔を見たら言えなかった。なんか、怒ってるみたいだから。珍しい事ではないけども。


 すぐに前を走る車に追い付いてしまい、自然とスピードが落ちた。和也の表情も、いくらか穏やかになったような気がする。


「夜中に呼び出してごめんね?」


「いいさ。ちょうど走りたかったし。でも……」


 和也はそこで言葉を切った。彼は私に呼び出された事で機嫌が悪いのかなと思って謝ったのだけど、そうじゃないのかな。でも、“でも”の続きって何なんだろう。