禁断の姉弟愛 ～欺くのはどっち？～

「あらまあ。じゃあ私は留守番するから、二人で行きなさいよ」


　となるわけで、今回に限って言えば、ラッキーだったかも。


「弟と二人でドライブかぁ」


「いいよ、無理しなくても」


「仕方ないから付き合ってあげるわ。どうせ暇だし。さてと、じゃあ着替えなくちゃ」


　私は言葉とは裏腹に、素早く立ち上がった。もたもたしてると、和也の気が変わりそうだから。何着て行こうかしらん。



　気合が入ってると悟られるのは恥ずかしいから、一見さりげないナチュラルメイクで、でも実はバッチリメイクをした。和也はと見ると、デートに行くみたいにしっかりと着替えていた。黒のジーンズ姿が、超素敵。


　笑顔の母に見送られ、私達は家を後にした。もうすっかり日は高く、真夏の強い日差しに目が眩むよう。でも湿気は少ないみたいで、むしろ心地よささえ感じる、ある夏の日だった。