禁断の姉弟愛 ~欺くのはどっち?~

「喫茶店の美沙子さんだよ。知ってるくせに、何で聞くかなぁ……」


 なんだ、美沙ちゃんか……って、え? 美沙ちゃんじゃなくて“美沙子”ちゃんだったの? あちゃー。私、やっちゃったなぁ。

 おっと、質問を続けなくっちゃ。


「その美沙子さんとは、順調ですか?」


 美沙ちゃん、じゃなかった美沙子ちゃんに会いに行った事は内緒にしたいから、私はしらばっくれてそう質問した。


「え? ん……あんまり順調じゃねえかも」


「と言いますと?」


「しばらく会ってないから」


「なるほど。あなたから連絡はしないのですか?」


「え? ん……しない、かな」


「それはなぜですか?」


「なぜ、って……別にいいかなと思って」


「別にいい……と」


 私はまた、手帳に書くふりをした。そして、和也の目をジッと見て、次の質問をした。


「そのやる気のなさの理由ですが……、他にも彼女がいるからですか?」