禁断の姉弟愛 ~欺くのはどっち?~

 ハネムーンも2組合同で、ローマを基点にイタリア北部へ7日間の旅だった。

 空港から真っ直ぐに新居に帰り着いた時は、時差ボケもあってかなり疲れてしまった。


 4人で門をくぐり、私と“夫”の直人さんは右の玄関へ。和也と裕美さんは左の玄関へと別れた。直人さんがドアに鍵を差し込む間に、私は真新しい表札を見上げ、ひとり感慨にふけっていた。


 『片桐 直人・志乃』


 ああ、私の苗字は『片桐』になっちゃったのね……

 家に入ると、直人さんはリビングのソファーにドカッって感じで腰を下ろした。


「ああ、疲れたなぁ。思わず座っちゃったけど、このまま立てなかったりして……」


 直人さんはそう言い、白い歯を出してニコッと笑った。

 私も直人さんの向かいに座り、彼を見つめた。直人さんはすらっとして背が高く、趣味はテニスだそうで、顔も肌もいい感じの小麦色に焼けている。見た目はお医者さんというよりも、青年実業家って感じかな。