和也は、小柳君のメールを読み終えた後、しばらくは無言だった。そして、小さな声で「小柳の奴……」と呟いた。その目には、薄っすらと涙が滲んでいた。


「この中の“二択以外”って、解るよね?」


「ああ、解るよ。俺は大丈夫だけど、姉貴が心配だな。すぐ“死にたい”とか言うから……」


「もう言わないし、思わない。せっかく和也と気持ちが通じたんだもん、死にたくないよ」


「うん、それならいいんだ」


「確かに小柳君が言う通り、私達、二択のどちらかを選択しないといけないんだね? 今のままじゃ、いつかは周りに知られちゃうかも……」


 既に母には怪しまれてる気がするけど、それは口に出さなかった。和也を心配させたくないから。もっとも、和也もその事には気付いてるかもしれないけど……


「確かに……」


 と和也が言った後、私達は黙り込んでしまった。私達はどちらを選ぶべきなんだろう。というか、私は決まってるんだけど、和也はどっちを選ぶんだろうか。つまり、自分の気持ちを欺くか、それとも世間を欺くか……