禁断の姉弟愛 ~欺くのはどっち?~

「もう、あんな事はするなよな?」


「しないよ。死にたくても、恐くて出来ないと思う」


「なんで“死にたい”なんて言うんだよ?」


 なぜ私があんな事をしたのかは、誰も知らない。遺書は書かなかったし。

 問い詰められたらどうしようと思ったけど、あれ以降は父も母も腫れ物に触れるように接してくるだけで、あの事の理由は聞かれないし、話題にすらならなかった。

 和也だけは以前と同じように接してくれてるけど、あの時の話をするのは今夜が初めてだ。


「名前のせいかも」


「はあ?」


「だって、ほら、私の名前は“しの”(志乃)でしょ? だから、“しのう”(死のう)かなって、思っちゃうのかも」


「そんなくだらねえ理由かよ?」


「うん」


 なんてね。本当の理由は違うけど、言えるわけない。特に和也には……