「あ、和也、ただいま……」


 何食わぬ顔(をしたつもり)でそう言ってみたけど、和也は無言のまま、もちろん『お帰り』とは言ってくれなかった。


「あの、えっと、飲み会?」


 なぜか語尾を上げて疑問形になってしまった。これでは嘘がバレバレだわ。我ながら情けない……


 なおも無言で私を睨む和也の視線に耐え切れず、「じゃ、おやすみ……」と言って私は前を向き、階段を上がって行き、部屋のドアを押し開けたのだけど、私の肩越しに手がぬっと伸び、そのドアを押さえられてしまった。

 咄嗟に後ろを見上げると、和也の顔がすぐ目の前にあった。


「その割には、ちっとも酒臭くないよな?」