電話に出ると、おごそかな声が聞こえてきた。


「どうなさいました?」


『お前なぁ、もう少し態度を崩してもいいのではないのか?』


「すみません、性分なもので」


『まぁいい。さやは寝たか?』


「ええ、ついさきほど」


『そうか。さやが何やら落ち込んでいるように見えたのだか。……やはり、婚約がよほどショックだったのだろうか』


「え?」


『いや、何でもない。こっちの話だ』


その後、現状報告と 数日後の準備の話をして電話を切った。