薄紅の花 ~交錯する思いは花弁となり散って逝く~



笑う、櫻澤君。どうしてそんなに笑えるのだろう。不思議だ。彼が何故自分に優しげで儚げで、それでいて激しさを持つ笑みを浮かべられるのか分からない。


彼の言葉を聞いた瞬間、私の胸を太い針が貫いた。衝撃と共にやって来た痛さは衝撃と共に消え去っては行ったが、それ以上の悲しさに浸らせる。


せっかく同業者の同級生に出会えたのに。共有しあえる仲間が出来ると思っていたのに。


そういう感情の許にこの悲しさは存在するのだろうか。正直分からない。


ただ悲しくて、苦しくて辛さを運んでくる。しかしそんなことを口に出せる勇気も湧かせてくれない。