恐い。気持ちが悪い。なんなのだ。よく見れば字面が違う。これは―――歴代藤岡《ふじおか》家の人間が書いたもの。


決して櫻澤家の人々は化け物でも、鬼でもない。私達と同じ人間だ。ただ人並み以上の強靭な精神の持ち主なだけで。誰よりも心優しき人間なのだ。


助けられた私だから分かる。


櫻澤家の人々は……櫻澤《さくらさわ》君は強くて、優しくて誰よりも脆い人間。それが成長せぬ精神の持ち主には畏怖しか感じないだけで、きっと彼らは誰よりも人間らしい。


何故これを書いた先祖の皆さんは知らないのだろう。何故平気でこんなこと書けるのだろう。これではまるで私達の家の方が鬼、化け物のようではないか。