「そうだね、静寂。 じゃあ、また明日ね、藤岡さん」 その爽やかな言葉と共に浮かべるのは爽やかな笑み。紫音はその笑みに見とれつつ、コクリと返事をする。 結斗はわざとらしく紫音の横を横切る。 その時仄かに甘ったるさが一つもない優しい香りが風と共にほのかに香った。 「……」 「え?」 紫音が後ろを振り向く。 が、結斗の姿も静寂の姿もなかった。