薄紅の花 ~交錯する思いは花弁となり散って逝く~




「確かにそうかもしれない。でもこのまま見過ごすわけにはいかない。

 おそらくこれから大物がやってくるに違いない。

 その余興として俺が出ても構わないだろう。静寂はいつものように見守っとくだけでいいよ」



そう言うと、跳躍した。彼は人間ではありえないほどの高さまで跳躍し、屋上へと着地する。


現在ここは立ち入り禁止。誰も来るはずがないいや、来れない場所。なぜならここには鍵やら立ち入り禁止の立札が建てられているから。だからここまで来るには飛ぶしかない。


そう考えた結果であった。


先程まで結斗の目の前に居た静寂も跳躍し、屋上へと着地し入口の壁へともたれかかる。



「当主様に怒られるの私なんだからね」