薄紅の花 ~交錯する思いは花弁となり散って逝く~




彼女の予想というか考えは大きく外れた。


彼女の背後で展開されるのは懐かしい転校トーク。


なんと彼女の後ろには昨日手紙などのものを届けた彼―――櫻澤結斗《さくらさわゆいと》が座っていた。彼はどうやら病気で学校に来れなかったらしく、最近はどうも調子がよくなってため、学校へ来たということだ。


彼は1年と数か月というか入学式以外は来ていないため、ほとんど顔が知られていない。それでこんな感じの転校生が来た初日に行う転校トークというやつが紫音の後ろつまり結斗のまわりで展開されている。


結斗は誰から見てもととのった顔立ちをしている。肌も白い。少年にしては珍しいさらさらとした漆黒の髪の持ち主。